母は過干渉的な態度を取るが、日常生活を詳細にみると、放任的な態度が頻繁に見られる。子供の頭髪、身づくろい、足のサイズに合った靴などを用意することができない。遠足のときでもリュックを持たせられず、平気で幼稚園バッグのまま行かせてしまう。近所のいじめっ子が子供のパンツを脱がせたり、お菓子を取り上げても追い払わないなど。さらに子供への愛情を表現できない場合がある。スキンシップが不得意で、子供の髪を撫でる、頬に触れる、背中をさする、膝の上に座らせる、やさしく抱擁するなどができない。言葉で「かわいい」「とても愛している」と語りかけることができない。このように過干渉ー放任という両極端の態度を示す傾向がある。子供は過干渉により自立を妨げられ、放任により自尊心を育てることができない。いわば子供は母から「やさしい暴力」を受けることになる。ただし、母子カプセルは固定したものではない。母は身を守るために、多くの時間を子供とカプセルのなかで過ごすが、母の主張をときには父が代弁する場合がある。このときには、母子カプセルのなかから抜け出て、母は父の側に立つ。この母のご都合主義に子供は翻弄される。普段は、父の文句ばかり言っている母が、父の味方をするような発言をするので、子供は母に対して不信感をますますつのらせる。母の示す二枚舌は言葉だけではない。父が母に暴力を振るい、母は泣き叫び、傷つき、半狂乱となることがしばしばである。いわば母は父の被害者である。ところが、夜になると、母は加害者の父とセックスをして満足した様子を示す。子供には母が父に対して、なぜ敵対する行動を取らないのか、分からない。子供はそのような母にしてしまうセックスに対して嫌悪感を抱くようになる場合も少なくない。ラブ・アディクションに陥った者に見られる典型的な家族背景には、父からのトラウマと母によるカプセルによって、心が傷つけられてきたという歴史がある。家族の機能不全化はバリエーションが多様である。父がアディクションや暴力のような目に見える問題行動を示さず、仕事依存症による家庭放棄や家庭への無関心や無理解などの問題を持つ場合がある。父親不在は子供にとって男性イメージや父親イメージを作りにくく、母は孤独と淋しさのため子供とのカプセルをつくるようになる。一方、母がアディクションや暴力問題を持つ場合は、家庭が作られにくく、家庭ができたとしてもすぐに崩壊してしまう。

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