トラウマによる心の傷
機能不全化した家族によってどのような傷が心につけられるのであろうか。①自己評価が低い最も深い心の傷である。このため何事にも自信がなく、劣等感が強い。他者からの批判に耐えられない。自尊心が育ちにくい。②過度な気配りいつも父の行動を観察し、予測する癖がついているので他者の顔色や考えを先読みする。日常生活では心からくつろげることができず、終始、気疲れしている。③怒りの蓄積自己主張をしたいが、父に抑えられているのでできない。心は怒りの感情で満ちる。これが些細な事で表面化し、問題行動になる。④感情の垂れ流し感情のコントロールが不十分で機嫌の良いときと悪いときを行ったり来たりする。悪いときは感情を爆発させる。⑤対人関係がぎくしゃくする母子カプセルなどのため言葉による対人関係づくりの訓練が不足している。意思表示の機会が基本的に少ないので、他者と関係を深め合うことができない。他者と対面したときには即答、紋切り型、断定的、突発的な言語表現をするので、コミュニケーションが作りにくく、対人関係はうまくいかないことがしばしばある。心の傷を刺激するストレス
心の傷は、傷の深さと心の健康性との力関係によって、発症の時期や内容に差が出る。心の健康性が低い場合には、幼少期から問題行動が出現する。夜尿が年長になるまで続く。陰部に直接手をあてたり、パンツのなかにちり紙を入れて摩擦を繰り返す自慰行為がみられる。保育園や幼稚園に通うようになると、落ち着きがなく、友人とうまく遊べず、衝突を繰り返す。こういった子供は多動児と呼ばれる。学童期によく見られるのは”ぜんそく”である。体質的要因、環境要因など発症には多くの要因が関与するが、機能不全家族に育ち、心の傷をもっている場合も少なくない。中学になると不登校、家庭内暴力、高校では暴力、暴走、自傷行為(タバコの火を自ら手につけるなど)、頻発な自殺企図、性非行(援助交際など)といった形で心の傷が噴出してくる。心の傷が浅く、心の健康性が比較的保たれている場合には、思春期になるまで発症せずに心はもちこたえる。思春期は一生のうちでも激動の時代である。進学か就職、異性問題などの外的な圧力にさらされながら、自我が芽生え、自分に対する問いなおしを始める。このような思春期の自己形成の作業は、一方で、これまで心の奥に押し込められていた心の傷を表面化させる。心の像を抱えながら、社会生活を始めることは容易ではない。就職、異動、対人関係、結婚、出産、子育て、転勤、相続、親との関係など、数え上げればきりがない程のストレスにおそわれる。ストレスは心の傷を容赦なく刺激し、痛みは増強する。

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